大阪府中小企業団体中央会では、去る10月20日(火)、マイドームおおさか8階第3会議室において、令和8年度第2回人材確保対策セミナーを開催しました。当日は、会場での開催とオンライン配信を組み合わせたハイブリッド方式で実施しました。
第1部では、中小企業診断士の中野氏を講師に迎え、「人が辞めない職場づくり」をテーマにご講演いただきました。若手が働き続けたい職場には、報告・相談のしやすさや丁寧な教育、仕事を通じたやりがい・成長実感が求められる一方、実際の退職理由では人間関係が大きな要因となること、人材定着と職場満足度・生産性には相関があり、関係の質を起点に思考・行動・結果の質を高める「成功の循環」や、安心して意見を表明できる心理的安全性の確保が重要であると説明されました。また、人が定着する職場には、労働条件や職場環境などの「働きやすさ」と、貢献・成長・やりがい・仲間・責任・専門性などの「働きがい」の両方が必要であり、経営方針の共有、仲間意識の醸成、キャリアパスや納得感のある評価制度の整備、人材育成への投資など、具体的な取組が示されました。さらに、傾聴を基本とし、相手の習熟段階に応じてティーチングとコーチングを使い分けること、相手の成長を目的に客観的に「叱る」こと、面談ではまず相手の話を聴き、承認を伝えることが信頼関係の構築につながると解説されました。
第2部では、中小企業診断士の大萱(おおかや)氏を講師に迎え、「働き方改革と労務管理改善による生産性向上」をテーマにご講演いただきました。働き方改革を単なる労働時間規制への対応で終わらせず、生産性向上につなげる視点から、時間外労働の上限規制や36協定、客観的な労働時間の把握、月次での残業時間の監視など、労働時間管理の基本と実務が説明されました。改善の出発点として、労働時間・残業時間・年次有給休暇取得状況を部署別・個人別に見える化することが示され、仕事量を変えずに時間だけを減らすのではなく、「残業が発生しない仕事の仕組み」へ転換する必要性が強調されました。具体的には、業務を棚卸しして「やめる・減らす・まとめる・自動化する」の四つに分類し、小さな改善を実行して効果を測定・定着させる手法や、会議、報告書・日報、データ入力・受発注、勤怠・シフト管理などの標準化、クラウド化、自動化の事例が紹介されました。また、年次有給休暇の年5日取得義務、建設業・運輸業における時間外労働規制への対応に加え、生成AI、RPA、クラウド、IoTの役割と導入手順についても解説されました。解決したい課題を明確にして一つの業務から小さく試し、効果を数値で確認しながら横展開すること、現場を巻き込み、情報セキュリティや利用ルールを整えることが重要であると説明されました。
今回のセミナーを通じて、人材の定着には「働きやすさ」と「働きがい」の両面を整え、良好な人間関係と心理的安全性を育むことが重要であるとともに、適切な労務管理と業務の見える化・標準化・自動化を進めることが生産性向上につながることを確認しました。当会では今後も、中小企業・組合の皆様の人材確保・定着や経営力向上に役立つ情報提供とセミナーを継続して実施してまいります。
セミナーの様子(第1部講師の中野氏、第2部講師の大萱氏、および会場の様子)




