組合制度の概要

中小企業組合について

中小企業は、規模が小さいことにより経営上様々な制約があり、個々の企業努力では解決困難な場合が多々あります。そこで、厳しい経営環境の変化に対応して、中小企業が経営基盤を強化していくためには、組合組織を活用して不足している経営資源を補っていくことが必要です。例えば、市場を開拓するため共同で新たな販路の開拓を行う、知恵を結集して新技術の開発を行う、街全体でイベントを開催して地域の人々との連携を深める、共同で研修会を開催し組合員企業の人材の育成を図る、等様々な事業活動が行われていますが、こうした取組みをとおして経営基盤の強化が可能となります。
 また、東日本大震災発生の際には、石油小売業の組合が被災地に重油を提供したり、給食の組合が避難所にいち早くおにぎりを届けました。更に、管工事の組合が被災地のインフラ復旧に活躍したり、木材関係の組合が仮設住宅の資材を提供したり、様々な業種の組合がそれぞれ実施可能な支援活動を幅広く展開しました。一方、被災地では、組合による仮設店舗のオープンが行われるなど、組合が復旧・復興に向けた大きな力となっています。
 組合を組織するということは、中小企業が力を結集する場を創り、互いに助け合って新たな価値を創造していくことにより、困難を乗り越えていくための重要な経営戦略の一つです。

組合を作る効果

組合員の経営安定・基盤強化への寄与

  • 資金調達の円滑化
  • 取引条件の改善
  • 生産性の向上
  • 情報の活用
  • 技術力の向上
  • 人材の育成・強化等

新たな分野への挑戦

  • 新製品・新技術開発
  • 新市場・新販路開拓
  • 異分野・農商工連携
  • 地域資源の活用等

業界全体の改善発達

  • 業界全体の技術水準の向上
  • 業界の地位向上
  • 取引条件の改善
  • 業界内外の実態把握と対応策策定等

要望・意見等の実現

  • 建議・陳情による政策面からの環境改善
  • 新たな支援施策の実現等

組合の種類と主な事業

組合には様々な種類があり、それぞれの根拠法に基づいて設立され、また運営することが義務付けられています。組合の機能や役割から設立の際に制限が付されている場合や、構成員の業種に制限がある場合等がありますので十分ご留意ください。

組合等の種類と特徴

  1. 事業協同組合

    組合には様々な種類があり、それぞれの根拠法に基づいて設立され、また運営することが義務付けられています。組合の機能や役割から設立の際に制限が付されている場合や、構成員の業種に制限がある場合等がありますので十分ご留意ください。

  2. 事業協同小組合

    組合員となることができる資格が、従業員5人以下(商業・サービス業は2人以下)の事業者に限られていることが特色で、実施する事業等は上記の事業協同組合と同様です。

  3. 信用協同組合

    組合員である中小企業者、勤労者等に対し、預金の受け入れ及び資金の貸付等の金融事業を行う事を目的としている組合で、中小企業の資金需要に応えるための事業を実施しています。

  4. 協同組合連合会

    同一の資格事業による組合(企業組合を除く)同士が組織する連合体です。より広域的な活動を行うことで、単独で行うよりも更に大きな効果が期待できるような共同事業(例えば、共同宣伝、共同購買、情報提供、人材育成、共済事業等)を実施します。

  5. 企業組合

    個人事業者や勤労者などが4人以上集まり、それぞれの資本と労働を組合に集約し、あたかも一つの企業体となって事業活動を行う組合です。他の中小企業組合と異なり、事業者に限らず勤労者や主婦、学生なども組合員として加入することができ、その行う事業が限定されないことから、小規模な事業者が経営規模の適正化を図る場合や安定した自らの働く場を確保するのに適しています。
    企業組合は、組合員が共に働くという特色をもっており、原則として組合員の2分の1以上が組合の事業に従事しなければなりません。更に、組合の事業に従事する者の3分の1以上は組合員であることが必要です。個人以外に組合事業をサポートする法人等も一定の条件のもとで特定組合員として加入できます。
    近年は、企業組合が子育て支援や介護・福祉、街づくり、高齢者の社会参加等の分野で活躍していることから、「ソーシャルビジネス」としての機能が注目されています。
    また、企業組合の形態として、通常の企業のように事業場を集中させて事業を行う「集中型」と、各個人事業者が従来営んでいた事業場を、組合の事業場としてそのまま継続して運営する「分散型」があります。

  6. 協業組合

    組合員になろうとする中小企業者が、従来から営んでいた事業の全部又は一部を組合に統合し、経営規模の適正化、技術水準の向上、設備や経営の近代化・合理化を進め、生産・販売能力の向上などを図ろうとする組合です。
    協業組合の形態には、組合員の事業の一部分を統合する「一部協業」と、事業の全てを統合する「全部協業」があります。どちらの場合も組合員は必ず小規模の事業者(定款に定めれば組合員総数の4分の1以内まで大企業者を加入させることが可能)でなければならず、組合に統合した事業については原則として、個々の組合員は事業として行うことができなくなります。また、この組合の特色として出資額に応じて議決権に差を設けることや、新規組合員の加入を制限することもできます。出資額についても、組合員1人で出資総口数の50%未満まで持つことも可能です。

  7. 商工組合

    事業協同組合が共同経済事業を実施することにより、組合員の経営の効率化と経済的地位の向上を図ることを主な目的としているのに対し、商工組合は業界全体の改善・発達を図ることを主目的に同業者によって設立される組合です。業界を代表する同業組合的性格を有していることから、設立に当たっては、組合の地区は原則として1以上の都道府県を地区とすること、その地区内の同業者の2分の1以上が組合員となるものでなければならないこと等の設立要件があります。
    また、商工組合の組合員は、原則として中小企業者ですが、一定の条件のもとに大企業も組合員になることができます。
    商工組合が行う事業には、法律によって以下のものが規定されているほか、出資商工組合の場合は、小規模の事業者を対象として、事業協同組合と同様に共同経済事業等を実施することが可能です。

    • ・組合員の資格事業に関する指導及び教育
    • ・組合員の資格事業に関する情報又は資料の収集及び提供
    • ・組合員の資格事業に関する調査研究
    • ・組合員の資格事業に関し、組合員のためにする組合協約の締結

    このほか、環境リサイクル、安全問題等への対応など、商工組合が自主的に実施している事業も増加しています。

  8. 商工組合連合会

    各県域等で設立された商工組合を会員とする商工組合の連合体で、中小企業者が営む事業の改善発達等のための諸事業をより広範囲かつ総合的に展開します。

  9. 商店街振興組合

    小売商業又はサービス業を営む事業者等が商店街を中心として設立するもので、商店街の活性化を目指して街路灯、アーケード、カラー舗装、共同駐車場等の誘客・来街のための環境整備や文化教室、集会場などのコミュニティ施設の設置を行います。また、共同宣伝、共同売出し、ポイントサービスや商品券の発行等の共同事業も積極的に実施されています。
    商店街振興組合は商店街を中心とした街づくりを行うため、設立する際には次の要件を満たさなくてはなりません。

    • ・小売商業又はサービス業を営む事業者30人以上が近接して商店街を形成している地区(町村地区を除く)であること。
    • ・その地域内で組合員となれる資格を有する者(定款で定めれば非事業者であってもその地域に居住している者は組合員になれる)の3分の2以上が組合員となり、更に全組合員の2分の1以上が小売商業又はサービス業を営む事業者であること。
     
  10. 生活衛生同業組合

    飲食、美容、理容、旅館、公衆浴場、クリーニングなど国民の生活衛生に特に関係の深い業種の事業者によって組織される組合で、現在18業種が営業指定されています。適正な衛生管理や衛生施設の改善向上を図るための指導的な事業を主体に、技能の改善向上、技能者の養成といった事業のほか、必要に応じて営業方法の取り決めや営業施設の配置基準の設定等の事業を行います。

  11. 有限責任事業組合(LLP)

    LLPとは、「Limited Liability Partnership」の略で、民法上の任意組合と株式会社のそれぞれの長所を取り入れた組織形態として、企業同士のジョイント・ベンチャーや研究開発等に活用されています。
    有限責任事業組合制度には、有限責任制、内部自治原則、構成員課税制度という3つの特徴があります。「有限責任制」とは、従来の民法組合では出資者が全員無限責任を負うのに対し、有限責任事業組合では、出資者全員が株式会社と同じように有限責任であることを意味します。「内部自治原則」とは、出資者自らが経営を行うので、組織内部の取り決めを自由に決めることができることを意味します。「構成員課税制度」とは、有限責任事業組合には課税されずに、出資者に直接課税されることを意味しています。

  12. 合同会社(LLC)

    LLCとは、「Limited Liability Company」の略で、「有限責任社員」のみで構成され、「組織の内部自治」が認められる新たな会社類型として、LLPとともに創業やジョイントベンチャーなどでの活用が期待されています。

  13. 一般社団法人

    非営利団体を対象とした法人制度の一つであり、営利を目的としない団体(人の集まり)であれば、一般社団法人として法人化できます。
    「非営利」「営利を目的としない」とは、社員(団体の構成員)に対する剰余金の分配を行わない、株式会社の株主配当に相当することを行わないという意味であり、収益事業を行い利益を得ることや、役員報酬・従業員給与を支払うことなどは、営利を目的としないことに反しません。

  14. 一般財団法人

    一般財団法人は、事業目的に必ずしも公益性がなくても構いません。公益性があるとは、不特定かつ多数の人の利益を増やすことを目的としているということです。個人や特定のグループのみの利益を目的としていないということであれば個人の利益を追求することも可能です。

  15. NPO(特定非営利活動法人)

    NPOとは、「Nonprofit Organization」の略で、「非営利組織」となりますが、意味を正確に伝えるために、「民間非営利組織」と訳します。
    「非営利」とは、利益を上げてはいけないという意味ではなく、「利益があがっても構成員に分配しないで、団体の活動目的を達成するための費用に充てること」となっています。

主な事業の種類

  1. 共同生産・加工事業

    個々の組合員では所有できない高額・大型の機械設備等を組合が導入し、組合員が必要とするものを生産・加工し、組合員に供給する事業です。これにより原価の引下げ、規格の統一、品質の向上、設備や仕事の効率化などが可能となります。共同施設の設置には、高度化融資制度の活用や商工中金等からの融資のほか、国等からの支援策も充実しています。

  2. 共同購買事業

    組合員が必要とする資材等を組合がまとめて購入し、組合員に供給する事業です。製造業をはじめ卸・小売業、運送業やサービス業の組合に至るまで比較的幅広く実施されています。これにより、仕入先等との交渉力が強化され、仕入れ価格の引下げ、代金決済などの取引条件の改善、購入品の規格・品質の均一化等が図られる等、組織化のメリットが比較的実現しやすい事業といえます。

  3. 共同販売事業

    取引環境が変化する中で、いかに新たな販路や市場に対応していくかが課題となっています。この事業は、組合員が製造した製品等を組合がまとめて販売等を行う事業です。これにより販売価格や決済条件などの取引条件が有利になるほか、大口需要先への対応や新販路の拡大等が図れます。近年は、インターネットを活用した共同販売も広く行われています。

  4. 共同受注事業

    国内市場の縮小、公共事業の縮減等で多くの中小企業が受注の確保に苦慮しています。この事業は、組合が窓口となって注文を受け、組合員が分担して製造・施工等を行い、組合が納品する事業で、場合によっては、組合員に斡旋する形態もあります。官公需適格組合が実施している行政等からの官公需共同受注事業が代表的なものです。これにより大口の発注や大型の工事等を受注することが可能になるほか、取引条件の改善が可能になるといったメリットが得られ、組合員の技術力の向上にも繋がります。共同受注を成功させるためには、いかに積極的な営業活動等を組合が実施できるかにかかっていると言っても過言ではありません。

  5. 市場開拓・販売促進事業

    この事業は、前述の共同販売事業や共同受注事業と連動して行われることが多く、組合員の製品や取扱商品の販路拡大、新たな市場開拓等を目指して行われます。個々の企業では知名度を高めることは大変ですが、組合が中心となってブランド化を進め、全国規模でのPRを展開することも可能です。実施形態としては、展示会の開催・出展、共同での広告宣伝、共同売り出し、商店街のポイントサービスやクレジット事業等が代表的なものです。

  6. 研究開発事業

    企業の発展のためには常に新たな製品や技術の開発、生産工程の改善等が不可欠です。この事業は、中小企業個々では困難な調査研究や研究開発を組合が共同で実施するもので、組合が直接実施する場合や、大学や公的な試験研究機関に依頼して実施する場合があります。産・学・官の連携による研究開発も広く行われており、特に、ものづくりや農商工連携、地域資源を活用した新製品開発等の分野では国等からの支援策も充実していることから、組合として積極的に取り組むことが望まれます。

  7. 人材養成事業

    人材は、企業経営の根幹をなすものです。企業・組合・業界を発展させるには、人材を育成せずには成し遂げられません。組合が実施する人材育成事業は、組合員とその後継者、組合員企業の従業員等を対象として実施するもの等様々ですが、計画的・体系的な教育研修を実施することが必要です。実施に当たっては、技能検定制度を活用するなど業界における技術・技能の向上を目指し、従業員等の意欲の向上を図っていくことが重要です。

  8. 情報提供事業

    組合員の経営に役立つ市場等の情報、技術情報、関連業界の情報等を収集し、組合員に提供する事業です。近年は「情報」が重要な経営資源と考えられているため、組合や業界の情報を広く発信していくことが重要です。

  9. 金融事業

    事業資金の確保は、常に中小企業者の経営上の大きな課題です。金融政策は、国等が実施する経済対策の大きな柱となっています。組合が行う金融事業は、組合員に対する事業資金の貸付、手形の割引、又は金融機関に対する債務保証等の形態で実施され、必要な資金を組合が借り入れて転貸するケースや、組合の斡旋により組合員が直接借り入れるケースがあります。また、組合員が顧客や仕入先等と取引する場合、組合がその債務を保証する事業も行われています。

  10. 共同労務管理事業

    組合員企業の従業員の確保・定着あるいは能力開発等、組合員が行う労務管理の一部を組合が代わって行う事業です。これにより福利厚生等の労働条件、安全衛生、作業環境の改善が図れるほか、従業員の定着率や技術・技能の向上が図れます。

  11. 外国人技能実習生受入事業

    協同組合が監理団体となって技能実習生を受入れ、実習実施機関である組合員企業で研修を行うことで、我が国で開発され培われた技能・技術・知識の開発途上国等への移転等を目的として行われるものです。職業紹介事業の許可等、事業実施に当たっては一定の要件が必要ですのでご留意ください。

  12. 福利厚生事業

    組合員の生活面の向上を図るための事業で、健康診断、慶弔見舞金の支給、親睦旅行、レクリエーション活動等があり、組合員の融和、参加意識の向上等に必要不可欠です。なお、慶弔見舞金等で10万円を超える金額を支払う場合には、名称にかかわらず共済事業に該当しますのでご留意ください。

  13. 環境変化に対応する新たな事業

    地域の中小企業が生き残っていくためには、新技術や新製品の開発、海外市場等への積極対応、地球環境問題への対応等が避けて通れないものとなっています。こうした状況の中で、組合としても組合員の新たな戦略展開をバックアップする事業活動の展開が求められています。特にインターネットを活用した共同販売等の情報戦略、地域ブランドの開発と発信、海外市場調査、ものづくり技能の承継等は喫緊の課題であり、組合としてさらなる積極的な対応が望まれます。